勉強スイッチのオンオフのコントロール

勉強スイッチのオンとオフをうまく切り替えよう、とよく言われますが、果たしてそんなことが上手にできるものでしょうか?

 

私の結論から言うと、ほとんど無理な話です。

 

「だらだら勉強するのではなく、集中するときは集中して休む時は休む。」

 

言うのは簡単ですが、実際にそんな芸当ができるのは一部の強靭な精神を持った人間だけなのではないかと思います。

 

大人の皆さんも、自分が子供だった時のことを考えればすぐに分かるはずです。

集中したいのに気がつくと違うことを考えていて、進みたいのに一向に進まない。

少しだけ休むつもりが、気がつくと何時間もベッドで寝てしまっていた。

 

もちろん私もそうでした。

どんなに自宅の勉強部屋を勉強しやすい環境にしても、どんなに勉強時間を守るようにしてもその効果は一時的で、すぐに勉強スイッチがオフになるということがずっと続きました。

それは私が”自宅=オフ”の人間だったからなのだと思います。

 

基本的に”自宅=オフ”の人間が、一度自宅に帰ってきてオフになった勉強スイッチを再度オンにすることは容易ではありません。

勉強スイッチを、自宅に帰った後(オフになった後)に再度オンにできる人が、真の「オンオフのコントロールができる人」なのでしょう。

 

オンオフのコントロールができない人はどうすればいいか。

出来るだけ「オフとなる環境に身を置かないこと」が一番の解決策です。

 

塾が一番だとは言いません。

学校、図書館、ファーストフード店など、自宅とは物理的に離れた場所に自分の身を置いて勉強できること、これが最も効果的です。

 

自宅=オフの人は自宅学習には向きません。

ある程度、家族の叱咤激励や訓練で自宅学習が出来るようになる人もいますが効果は限定的です。

 

そして、多少なりとも親子関係は悪化します。

親は子のオフモードをオンモードに変えるために、必ず叱らなければならない時があるからです。

 

子どもの自宅学習の力を信じたいという気持ちはよく分かりますが、オンオフをうまく切り替えられるほどまだ器用ではありません。

自宅外での勉強、これをどうしたら実現できるかを本気で考えてみると意外と解決策が見つかる気がします。

 

かく言う私も、受験前の一時期、勉強は全て自宅外ですることにし、自宅に帰ってからは一切しませんでした。

自宅に帰ってからは、ゆっくりご飯を食べゆっくりお風呂に入ってから好きなラジオを聞き、最後に小説を読んで寝るだけでした。

それでもこの自宅外学習を始めてから1年後の偏差値は10上がりました。

 

塾にいる今中3生の中にもこんな生徒さんがいます。

もともと週2回で塾に通われていたのですが、夏休み明けから週3回に、そして12月から週4回で通われることになりました。

 

これは親御さんではなく生徒さんの希望なのだそうです。

この子は自分を冷静に見極められているのだと思います。

自分はまだ志望校に行けるだけの学力ではない、ではどうすればいいか、自宅ではどうしても勉強がはかどらない、ならば気が乗らなくても眠くても強制的に勉強せざるを得ない場所に自分の身を置くしかない、という結論に達したのでしょう。

 

強い”と思いました。

 

結局のところ、勉強に必要なのは素質や頭の良さなどでは無く”強さ”なのだなと思ってしまいます。

自分の弱さを素直に認める強さ、他者ではなく自分に打ち勝とうとする強さ。

その強さがこの子の判断に繋がったのだろうと思います。

 

志望校は県内最難関校の一つ。

最後まで後悔なく挑み続けられることを願っています。