普通、勉強へのやる気は簡単には沸かないものです。
それでも中には、何かがきっかけとなって、急にやる気が出たという生徒さんもいるにはいます。
ですが、そのやる気・勉強への前向きさがずっと途切れないで続く人というと、ごく限られた人となってしまいます。
そのことは、毎週取り組む宿題の量だったりその質だったりを見ているとよく分かります。
では、そういった勉強への前向きさがずっと続く人には何か共通点はないかと考えてみると、保護者の方にもいくつか共通することがあることに気づかされました。
今回はそんな保護者の方々の特徴をいくつかご紹介します。
1.目標を一緒になって見つけようとしている。
自分の目標が明確であればあるほど、そこへ向かおうとする気持ちは継続しやすいものです。
子供の目標を一緒になって考え、そしてその決めた目標を実現するための「プラン」を一緒に作っているようなご家庭は、生徒さんの前向きさが違います。
特に、子供は逆算することにあまり慣れていません。
つまり、自分の目標を達成するための道筋にどんな選択肢があるのかをよく知りません。
例えば将来なりたい職業・目標があるとして、そのためにはこの大学で勉強する必要があるけど、それにはこのレベル以上の高校に進んでおかないといけないな、だとしたらあとこれだけ点数をあげないとな、というような逆算をすることはなかなか子供だけでは難しい時があります。
そんな子供の悩みを察知し、自分の経験や知識をもとにした道筋プランを相談しあえるような関係が、前向きな生徒さんのご家庭では出来ています。
なぜか分からないけど勉強した方がいいからと言われてやる勉強と、目標達成のためにはどうしても必要だからとやる勉強では、継続性の度合いが違うこともうなづけます。
2.適度に干渉している。(放任には決してしない)
日々の生活に追われてくると、最初の目標がかすんできたり、ついつい自分に甘くなってくることは子供ならばよくあることです。
そんな時に適度に干渉できている(子供を放っておかない)ご家庭もまた、前向きな勉強を継続できています。
具体的には「目標の見直し」と「時間管理」をとても上手に行っています。
子供の目標がまだ変わっていない場合は、もう一度その目標への意識付けを行ったり、そこまでの道筋の再確認を行ったりをしていますし、もし目標を見失っているようなときは、根気強くその理由を聞き出したり新しい目標づくりのために一緒に悩んだりしています。
そして、子供が納得して再スタートを切れるような心配りをしています。
そして時間の管理です。
自分への甘さが一番出てくるのが時間の管理です。
あるお母さんは、毎日の時間の使い方について、子供が最初に決めていたことをだんだんと守れなくなってきたなと感じた時、1回だけガッツリとダメ出しをするそうです。
そしてダメ出しをした後はもう同じことは言わず、見守るのだそうです。
子供は子供なりに、これではダメだと既に気付いているはずなので、その気持ちを引き締め直す「きっかけ」さえ与えてあげれば、元の時間の使い方に戻りやすいのではないか、ということでした。
「時間の管理」は崩れやすいものでありながら、一方で親の知恵と工夫で簡単に修正しやすいものでもあるんですね。
しかし「適度に干渉する」ためには、親子の信頼関係がしっかりできていることが大前提となります。
つまり、子どもにとって信頼できる親であることを普段の生活を通して示せているかということです。
良いことをしたら褒め、悪いことは叱り、善悪の違いは何なのかをよく話し合う、そんなコミュニケーションが普段からとれていれば、自然と子供は親を信頼するようになります。
また、親も子供を信頼できるようになります。
3.子供の勉強に参加している。
勉強に参加といっても色々なやり方を取っています。
まる付けを手伝いながら間違っているところ一緒に考え、弱点と思われる所を指摘してくれる方もいます。
もちろんその場で正しい答えを教えることが出来る必要はありません。
その部分は学校の先生や塾などで確認すればいいだけの話です。
重要なのは間違いやすいところを一早く見つけて修正の機会を与えてあげられることです。
そこまでではなくとも、テスト前には教科書を見ながら一問一答形式の問題を出してあげる方、英語や理科の暗記カードを子供と一緒に作ってくれる方など、何らかの形で子供の勉強に参加しているご家庭では、やはり子供の理解度に違いが出てきます。
勉強は基本的に孤独な作業ですから、その中でもし協力者や仲間のような存在がいてくれたら、そんな孤独な作業もやりがいのある事に思えてきて、その結果前向きな勉強ができているのではないでしょうか。
また、直接勉強に参加するわけではありませんが、親の姿を見て勉強に前向きになる場合もあります。
たとえば親が読書を習慣としているご家庭では、子供にも自然と読書の習慣がついていたりします。
親が仕事上で何か資格を取るために毎日勉強してたりすると、子供も勉強することがごく自然な当たり前のことに感じるようになってきます。
間違っても「親は学生時代を終えたからもう勉強なんてしなくていい」などと言ってはいけません。
いくつになっても自分を高めるための勉強は続けていくものという姿を、また時には苦労してあがき続ける姿を親が子供に見せることは、子供の向上心や探求心、知的好奇心をおおいに刺激し続けるものです。
まとめ
今回ご紹介させていただいた保護者の方々に共通する型は、一言で言うと、
⭕『親も一緒に参加してゴールを目指す型』
です。
大人は仕事、子供は勉強などという変な区分けはせず、親は子供の勉強にどんどん参加し、子供も親の仕事に関心を持つような関係でいられることが一番なのではないかと思います。
そしてその大前提となるものが、普段のコミュニケーション、もっと言えば親のコミュニケーション力です。
決して、
❌『自分は何もせず指示だけ型』
にはならないでください。
勉強という孤独な作業が、ますます辛くしんどいものとなってしまいます。
これでは何の希望もなく、前向きにやろうなんていう気が起きなくても当然です。
ぜひ、親は子と同じ方向を向いて歩く、良き仲間、良き伴走者になってあげてください。