高校の「大学合格実績」の見方

高校のホームページを見ると、各年度における生徒の進路情報を参照することが出来ます。

ほとんどの高校でこの実績は公開されてますので、中学生が目標校を定める時には必ず目を通す事をおすすめします。

 

ではどこをみるか。

 

進学校や準進学校と言われる上位校では、必ずと言っていいほどまず、国公立大への現役合格者数がトップに載っています。

これは数が少なくて集計しやすいからという事では決してなくて、この「国公立大への現役合格者数の多さ」が、簡単に言うと「学校の教育力の高さの証明」につながるからです。

 

国公立大だけが偉いわけではない、これだけで高校を簡単に比較すべきではない、という意見はごもっともです。

それでも私は、「国公立大への現役合格者数の多さ」を「生徒の勉強をその高校がどれだけサポートしてくれるかという指標」の一つとして考えてみるのは非常に有効だと思っています。

 

以下のデータは昨年度大学入試における各高校の「国公立大学への現役合格率」です。

 

仙台二高 54%

仙台一高 54%

仙台三高 75%

宮城一高 40%

仙台二華高 48%

仙台南校 48%

仙台向山高 43%

泉館山高 54%

宮城野高 38%

泉高 29%

多賀城高 22%

利府高 2%

塩釜高 0%

 

上位校と言われる高校の国公立大現役合格率はおおむね40%を超えています

つまり、10人に4人以上は現役での国公立大合格を勝ち取っていることになります。

 

もちろん、それには本人の努力が一番必要なのは確かです。

 

ただ、5科目全てを勉強することを要求される国公立大入試に間に合うような授業カリキュラムであったり、集中して受験勉強に取り組める期間の確保であったり、たくさんの模試受験の機会など、学校側が生徒に提供している手厚いサポートがあるからということも忘れてはいけません。

 

どんな高校に行ったとしても、本人のやる気さえあれば国公立大だって合格できるさ、というのはまさにその通りなのですが、その可能性となると残念ながら限りなく「0」に近くなるということは覚悟しなくてはなりません

 

受験科目なのに高3の冬になってもまだ範囲が終わっていない」とか、「模試は学校からは案内されない、もしくは全て自由参加」という状況の学校から国公立大を目指すことは、少なくとも現役で勝負することにおいては大きなハンデを背負うことになります。

 

私は決して国公立大への受験推進派ではありません。

ただ大学を目指す者であれば、誰でも一度は国公立大への受験も検討するはずです。

でも、その時になって初めて自分がハンデを背負っていると気づき、結局その受験を諦めてしまうのでは、あまりにもったいない気がしてしまいます。

 

 

みやぎ模試県内2位の生徒に見る、他者との違い②

前回ブログでは、振り返り学習(学び直し)、つまり忘れてしまった箇所を覚えなおす作業、または忘れていないかを再確認する作業が、模試や実力テストの得点力を上げるための最大の近道だと言いました。

 

ただ、この「振り返り学習」。わざわざ言われなくても、なんとなく大切なことは大体の人が知っていますよね。

にもかかわらず、実際にそれを実行できる人はと言うと、ほんとに少数です。

 

なぜなんでしょうね?

 

振り返り学習が出来ない人に聞くと、

「今習っているところの勉強だけで精いっぱいなのに、どうやったら昔の範囲まで勉強し直せるのか、そんな時間なんてないよ

という答えが返ってくるかもしれません。

 

そんなことはありません。

 

時間なんていうのはいくらでも作れるものです。

毎日学校の宿題に追われていたとしても、その前か後のわずか10分を振り返り学習にあてるだけで十分です。

その毎日の10分は、1年間にすると3650分、なんと60時間にもなります。

毎年60時間を振り返り学習にあてることが出来れば、忘れてしまう学習内容は劇的に減ります。

一過性ではない本当の実力が身につきます。

 

簡単なことです。

その10分を”意識的に”毎日の勉強時間に組み込んでみましょう。

つまり「ルーティン化」です。

ルーティンとは決まった動作を繰り返すことで「日課」とも言い換えられます。

 

野球界のレジェンド、イチロー選手は「ルーティンの天才」とも言われています。

朝食に食べるものから始まり、試合前の準備、練習メニュー、試合中の身体の動かし方に至るまで、厳密に毎日同じ動作になるようルーティン化しています。

 

そもそもイチロー選手のルーティンというのは、試合の打席に完全に集中できるようにするため、その一瞬に最大のパフォーマンスが発揮できるようにするため、それ以外の生活をいかに”ノーストレスな状態”にしておくか、ということのために行われているのだそうです。

 

ある大きな目標を達成するために必要な小さな一つ一つの事を、意識的に日常生活にルーティンという形で落とし込んでいくという作業は、勉強においても全く同じことが言えるのではないでしょうか。

 

つまり、勉強における最大の目標を”入試や模試で高得点を取ること”とした場合、「学校の宿題の前後に必ず10分の振り返り学習時間をつけること」を日常生活のルーティンとすることは、非常に有効な手段となります。

そしてそのくらいのルーティンであれば、一流選手のイチロー選手でなくとも誰でもすぐにできることの一つだと思いませんか?

 

でも、そんな些細な一歩を踏み出せるか否かで、勉強の成果というのは意外と大きく変わってくるものなのです。

 

これはイチロー選手の言葉です。

「夢や目標を達成することには一つしか方法がない。小さなことを積み重ねること。

 

 

みやぎ模試県内2位の生徒に見る、他者との違い①

弊塾には、みやぎ模試で県内2位の成績を取る中学生がいます。

 

この生徒さんは、中学校の定期テストでももちろん学年1位なのですが、模試でも実力テストでも中学校の定期テストと同じくらいの得点能力があります。

つまりどのテストでも480点前後の点数をたたき出してしまいます。

 

中学校の定期テストでは得点できても、模試や実力テストになるとそれほどには得点できない人が多いのが普通です。

 

大体ですが、模試や実力テストの方が50点ほど低くなってしまいます。

定期テストで450点なら模試では400点くらい、定期テストで400点くらいなら模試では350点くらいしか取れないのが普通です。

 

なのに、なぜこの生徒さんは模試でも高得点を出せるのでしょう?

 

模試で得点できない人との決定的な差は、『振り返り学習』の差です。

振り返り学習、言い換えるなら「学び直し」です。

この振り返り学習の””と”が圧倒的に他者と違うのです。

 

一般的な定期テストでは、直近の約3か月間で習った内容しか出題されません。

従ってその3か月間の内容をしっかり頭に入れておくだけで比較的容易に高得点を取ることができます。

 

しかしそれが模試や実力テストとなると、これまで習った全ての範囲から基本的には出題されます。

この「直近ではない学習範囲の量」は、学年が上がるにつれてどんどん増していきます。

そして、直近ではない学習内容は多かれ少なかれいずれ忘れてしまうのです。

 

それが、模試や実力テストで得点できない最大の理由です。

 

忘れてしまった箇所を覚えなおす作業、または忘れていないかを再確認する作業、これが振り返り学習(学び直し)です。

 

それが、模試や実力テストの得点力を上げるための最大の近道です。

 

勉強スイッチのオンオフのコントロール

勉強スイッチのオンとオフをうまく切り替えよう、とよく言われますが、果たしてそんなことが上手にできるものでしょうか?

 

私の結論から言うと、ほとんど無理な話です。

 

「だらだら勉強するのではなく、集中するときは集中して休む時は休む。」

 

言うのは簡単ですが、実際にそんな芸当ができるのは一部の強靭な精神を持った人間だけなのではないかと思います。

 

大人の皆さんも、自分が子供だった時のことを考えればすぐに分かるはずです。

集中したいのに気がつくと違うことを考えていて、進みたいのに一向に進まない。

少しだけ休むつもりが、気がつくと何時間もベッドで寝てしまっていた。

 

もちろん私もそうでした。

どんなに自宅の勉強部屋を勉強しやすい環境にしても、どんなに勉強時間を守るようにしてもその効果は一時的で、すぐに勉強スイッチがオフになるということがずっと続きました。

それは私が”自宅=オフ”の人間だったからなのだと思います。

 

基本的に”自宅=オフ”の人間が、一度自宅に帰ってきてオフになった勉強スイッチを再度オンにすることは容易ではありません。

勉強スイッチを、自宅に帰った後(オフになった後)に再度オンにできる人が、真の「オンオフのコントロールができる人」なのでしょう。

 

オンオフのコントロールができない人はどうすればいいか。

出来るだけ「オフとなる環境に身を置かないこと」が一番の解決策です。

 

塾が一番だとは言いません。

学校、図書館、ファーストフード店など、自宅とは物理的に離れた場所に自分の身を置いて勉強できること、これが最も効果的です。

 

自宅=オフの人は自宅学習には向きません。

ある程度、家族の叱咤激励や訓練で自宅学習が出来るようになる人もいますが効果は限定的です。

 

そして、多少なりとも親子関係は悪化します。

親は子のオフモードをオンモードに変えるために、必ず叱らなければならない時があるからです。

 

子どもの自宅学習の力を信じたいという気持ちはよく分かりますが、オンオフをうまく切り替えられるほどまだ器用ではありません。

自宅外での勉強、これをどうしたら実現できるかを本気で考えてみると意外と解決策が見つかる気がします。

 

かく言う私も、受験前の一時期、勉強は全て自宅外ですることにし、自宅に帰ってからは一切しませんでした。

自宅に帰ってからは、ゆっくりご飯を食べゆっくりお風呂に入ってから好きなラジオを聞き、最後に小説を読んで寝るだけでした。

それでもこの自宅外学習を始めてから1年後の偏差値は10上がりました。

 

塾にいる今中3生の中にもこんな生徒さんがいます。

もともと週2回で塾に通われていたのですが、夏休み明けから週3回に、そして12月から週4回で通われることになりました。

 

これは親御さんではなく生徒さんの希望なのだそうです。

この子は自分を冷静に見極められているのだと思います。

自分はまだ志望校に行けるだけの学力ではない、ではどうすればいいか、自宅ではどうしても勉強がはかどらない、ならば気が乗らなくても眠くても強制的に勉強せざるを得ない場所に自分の身を置くしかない、という結論に達したのでしょう。

 

強い”と思いました。

 

結局のところ、勉強に必要なのは素質や頭の良さなどでは無く”強さ”なのだなと思ってしまいます。

自分の弱さを素直に認める強さ、他者ではなく自分に打ち勝とうとする強さ。

その強さがこの子の判断に繋がったのだろうと思います。

 

志望校は県内最難関校の一つ。

最後まで後悔なく挑み続けられることを願っています。

 

作文を学ぶことのメリット

作文の能力を伸ばすことは、中学入試に合格すること以外にも多くのメリットが存在します。

 

皆さんも、作文って何となくメリットはありそうかなくらいには思われているかもしれません。

 

作文を勉強する事で実際に身につく力とは、主には以前にもお話した以下のような力のことです。

  ・論理的思考力

  ・発想力

  ・表現力

  ・論述力

  ・語彙力

 

一つ言えることは、作文は知能を高めるだけでなく人の内面の力、『人間力』を高めることに大きな効果を発揮するということです。

しかし、これらの力が何故作文を勉強することで身につくのでしょうか。

それは、作文の取り組み過程に理由があります。

作文を書く場合、通常はあるテーマが与えられ、そのテーマについての自分の気持ち、考えを作文にします。

例としては、

 『絶滅危惧種の保護』

 『地球温暖化』

といった時事問題的なテーマだったり、

 『あいさつの効果』

 『最も悲しかった経験』

 『友達の必要性』

のような日常生活に関連したテーマだったりです。

 

このテーマに沿って、経験と知識を総動員して、自分が書くべき内容を頭の中で組み立てなければなりません。

この作業が得意な人もいれば不得意な人もいますが、とにかくこの作業は避けて通ることが出来ません。

 

よく考えてみて下さい。

「絶滅危惧種の保護」や「友達の必要性」というテーマについて、普通に生活している中で真剣に考えることなんて滅多にないですよね。

しかも、その事柄についての自分の見解を表明するなんて事も普通は絶対しないと思います。

それが出来るのが作文の勉強です。

 

そして、

『自分の見解を表明する』ことは、自ずと『自分の価値観の発見』につながります。

 

自分の価値観というのは簡単に言うと、”自分がどんなことに価値を見出すか”ということです。

イメージしやすいところでは、「善悪の判断基準」や「優先順位の決め方」などです。

 

例えば、次のような作文の課題があったとします。

『科学の発達についてあなたが思うことは何ですか』

『話し合いで一番大切なことは何だと思いますか』

 

少しだけ真剣に考えてみてください。

あなたは、科学が発達することについては好意的な方ですか、それとも懐疑的な方ですか。

あなたは、話合いで一番大切なのは自分の意見をきちんと伝えることですか、それとも相手の意見をきちんと聞くことですか。

 

ここで選んだ答えがあなたの価値観の一部です。

こういう自分の価値観は、いざ聞かれてみないと自分でもなかなかよく分からないものです。

作文の題材を通して、自分という人間がどういった感じ方や思想を持っているのかが少しずつ明らかになります。

つまり、自分の価値観を客観的に認識できるということです。

 

自分の価値観をあらかじめ認識できていることは、受験の作文課題の際には非常に役立ちます。

なぜなら作文課題でどんなテーマを投げかけられたとしても、自分の価値感に照らし合わせることで、『中身のある文章』、『説得力のある文章』をいつでも作ることができるようになるからです。

 

ぜひ皆さんも、作文を通して自分の価値観探しを続け、自分の中に価値観を主成分とする『一本の柱』を育ててください。

この柱を育てれば育てるほど人間力は向上し、作文も上達します。

 

では、具体的にどうすればいいでしょう?

 

スポーツと同じです。

体力」と「技術」を強化すればいいのです。

 

「体力」つまり書く力は、とにかく書くことで身に付きます。

単純なことではありますが、書く場数を増やしていかないといけません。

ただ中学受験生であれば、1~2週間に1作文(500~600字程度)のペースで十分です。

 

また”言葉のシャワー”も浴びましょう。

本やテレビ、インターネットなどを通してなるべく多くの言葉に触れ、その意味を意識的に理解するようにしてみましょう。

家族で討論なんてできれば最高です。

そうすることで、作文作成に必要不可欠な『語彙力』と『知見』がアップします。

 

そして「技術」

これは、作文に彩(いろどり)を与えてくれます。

例えば、”段落のつくり方”や”正しい文体”といった基本的な技術を身に付けることだけで、読者にとって格段に読みやすく、内容に没頭できる文章が書けるようになります。

 

更には、”書き出し文章の書き方”、”締めくくり文章の書き方”、”比喩の有効な使い方”など、もう少し高度な技術を身に付けられれば、個性的で印象的な文章、つまり「光る文章」を書くこともできるようになります。

 

これらの力を身に付けた時、それは生涯にわたる『武器』を身に付けたことと同じです。

様々な場面で自分を助けてくれます。

高校入試や大学入試だけでなく、就職活動、論文、企画書、提案書、報告書など、社会に出てからも日々求められる要求に対して、確実に役立つ力となります。

 

最後に、

目に見えない作文の効果もお伝えしたいと思います。

 

作文はそもそも、自分の思いや感情を相手に伝えるツールです

 

このツールを使って、ぜひ”伝える楽しさ”や”伝わる喜び”を感じてください。

 

この”楽しさ”や”喜び”を感じられるのは、他の教科にはない作文独自のメリットだと思うのです。

 

「伝える楽しさ」「伝わる喜び」を知ることは、取りも直さず、「学ぶ楽しさ」「生きる喜び」を知ることにほかなりません。